違う世界の友人 -2
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バリに滞在しているとき、夢のなかに聖獣バロンが出てきました。まるでガムランの不思議な音階がつれてきたかのように。思い出すだけで、今も自分の体のどこかでうたた寝をしている錯覚に陥ります。たまにこの獣は目覚めるようで、今日も夢の中に現れ、金に輝くたてがみをなびかせていたようです。ところで「サンヒャン・ドゥダリ」といわれる秘儀舞踊をご存知ですか。シークレットダンスといわれ、初潮前の少女をトランス状態に導く踊りです。中沢新一の著書にも紹介されています。本場で観ることは難しいだろうと思いましたが、話だけでも聞けたらと思っていました。
そこで、バリで滞在中、ホテルのボーイのSさんと親しくなったので、いろいろ質問してみました。Sさんは、私の好奇心たくましい質問に親切に対応してくれました。4〜5ヶ国語を話せるという彼は、インテリで人柄もよく魅力的な人です。「ぜひ日本にも来てくださいね」と社交辞令で言ってしまって、すぐにしまったと思いました。
「それは無理でしょう」ととまどいを一瞬見せつつも、彼はすぐに笑顔に戻りました。彼とはしばらく手紙のやりとりもしていたのですが、最近は音信不通です。今度は家に泊めてあげるよといわれて、気持ちよく別れた彼のことを今でもときどき思い出します。バリでのんびり暮らすには、まだまだ時間がかかりそうですが、彼との再会を夢見ることが仕事のやる気を高めてくれているのは確かです。